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リンクスのビジネス

製品ヒストリー

HALCON

マシンビジョン構築ライブラリ HALCON

画像処理ライブラリHALCONは、2,000以上のオペレーターを組み合わせることで、効率的に画像処理システムを構築できる先駆的ツールです。作成したスクリプト型プログラムは、Visual C++/ Basic/C#コードへ自動変換でき、お客様の画像処理システムに容易に組み込むことが可能です。

現在では国内だけで数万システムにHALCONが利用されており、HALCONの高い信頼性が実証されています。

HALCON開発元 MVTec Software社

HALCON開発元の MVTec Software社はマシンビジョンのソフトウェアに特化したソフトウェアメーカーです。

1996年にドイツのミュンヘンを拠点として創立し、現在では画像処理のトレンドをリーディングする立場として、世界的な地位を築いています。

MVTec社の生み出す製品は、画像処理のソフトウェアという枠組みの中で、常に革新的な機能を提供し続け、世界中のあらゆるシーンで広く活用されています。

発掘期

1990年代、PCの飛躍的な性能向上により、様々な装置において、専用ハードウェアで画像処理をしていた時代から、PCで画像処理をする時代へと一気にパラダイムシフトが起こることを確信したリンクスは、マシンビジョン市場への参入を決意しました。

マシンビジョンの“脳” にあたる画像処理ソフトウェアが特に重要になると考え、将来的には業界No.1となれるような画像処理ソフトウェアを世界中に探し求めました。製品発掘は難航し、いくつかの製品を経て、ようやく辿り着いたのが、ドイツ・ミュンヘンにある MVTec Software GmbH(MVTec社)が開発した「HALCON」でした。その当時のMVTec社は、創業まもない時期で、ミュンヘン工科大学の一部を間借りしてオフィスを構えているような状態でした。マシンビジョン業界では無名の存在ではあったものの、MVTec社が開発した画像処理ライブラリ「HALCON」は、国家プロジェクトとしてミュンヘン工科大学で10年以上研究開発された成果をベースに製品化されたというものでした。

製品としてはまだまだ未熟ながらも、洗練された設計思想、確かな将来性を感じ、リンクスはMVTec社と代理店契約を締結しました。「HALCON」という製品を得て、リンクスのマシンビジョン市場への挑戦が始まりました。

導入期

「HALCON」を武器に一気にマシンビジョン市場に仕掛けたいリンクスは、1997年6月、初めての「HALCONセミナー」をドイツ大使館にて開催しました。

素晴らしいポテンシャルを持っていることは確かでも製品としての完成度はまだまだ低かった当時の「HALCON」は、Linuxでしか動かず、バグだらけでした。実際、セミナーにてデモを紹介しているところで急にダウンするというハプニングが発生し、なんとか切り抜けるという場面もありました。

第1回のHALCONセミナーの参加者は20名。これがリンクスと「HALCON」のスタートでした。

MVTec社とリンクスは、製品をつくるメーカーと製品を売る代理店という関係ではなく、「HALCON」という優れたテクノロジーを、いかに製品として世の中に広めていくか、業界No.1となるかということを一緒に考え・活動していくパートナーとして、共にマシンビジョン業界で歩み始めました。

リンクスからMVTec社へ最初に要望したこと、それは、Windows への対応でした。そして、「HALCON」の開発ライセンス(開発環境 HDevelopを使用またアプリケーションを開発するためのもの)、そしてランタイムライセンス(開発したアプリケーションを装置で動かすためのもの)、本数による価格体系など、ライセンスビジネスのコアとなる部分を協議して構築しました。

次に、「HALCON」の認知度を高めるために、リンクスは「HALCON」の教科書の製作をすることにしました。これは幅広い画像処理機能を有し、学術的なバックグラウンドを持つ「HALCON」だからこそ生まれたアイデアでした。今までにない、画像処理が学べる専門書としても、実践するための参考書としても活用できるような教科書を作り上げたい。そのような思いに賛同していただけた画像処理を研究されている大学教授の皆様の協力を得て、「HALCON」の教科書作りがスタートしました。

そのプロジェクト名は、「FEST Project」。教科書が完成した暁には、ドイツ・ミュンヘンで開かれる、ビール祭り OKTOBERFEST へみんなで行って大いに飲もう、ということからこのプロジェクト名をつけました。そして、2年の歳月を費やし、2001年6月、HALCON教科書【新実践画像処理】を出版することができました。

リンクスではその後も、「HALCON」教科書を出版しています。

2004年 「HALCON活用法」

これまで画像処理を使用していなかった企業へも「HALCON」を活用してもらうきっかけをつくった

2008年 「画像処理アルゴリズムと実践アプリケーション」

画像処理を適応しようとする技術者にも基礎理論の深い内容まで理解するためのハンドブックとなった

成長期

2000年、「HALCON」は、マシンビジョンのコアテクノロジーの1つである、形状ベースパターンマッチング(Shape-based Matching)を新機能として搭載しました。この機能は、フィルター処理によって画像から抽出された膨大なエッジ情報の中から、事前にパターンとして登録していたモデルを超高速・超高精度に探し出すというもので、半導体・電子部品関連の装置において、必須となる機能です。

1997年の日本国内販売開始から、毎年徐々に売上を伸ばしてきた「HALCON」は、この形状ベースパターンマッチングの登場により、前期比で売上2倍を達成し、いよいよ「HALCON」は成長期に突入します。

パターンマッチングという1つの機能をとってみても、新機能として搭載されるとすぐに改良のフェーズがスタートします。MVTec社とリンクスは共に、国内企業の付加価値の高い装置開発を支えるために、より安定、高速、精確なマッチングを追求し、最先端で「HALCON」を活用されているユーザを何社も何度も訪問し、問題点や改善点をヒヤリングし、継続的に機能アップを実現しました。

「HALCON」は世界最先端画像処理ソフトとして継続的な機能アップにコミットしており、2年に一度のメジャーバージョンアップを続けてきました(現在は、半年に一度)。機能アップとは、新機能の追加だけではなく、開発環境HDevelopの使い勝手の向上、既存機能の高速化・高機能化なども含まれます。そのため、「HALCON」がバージョンアップをする度に、新機能で新たなユーザを獲得することができ、また、既存ユーザはそのままのアプリケーションで高速化・高機能化の恩恵を受けられるため、装置としての性能が上がり、さらにHALCONを活用する、という結果を生み出しています。

国内企業を回るツアーの合間に、駆け込むランチタイム。MVTec社の社長は、日本に来始めたころは箸には不慣れでしたが、今では上手に箸を使い、音を立てて蕎麦をすすって、美味しそうに食べることができるようにもなりました。

2007年1月、「HALCON」の国内販売開始10周年を記念したイベントを開催しました。HALCONの機能紹介のみならず、主要なユーザ8社による講演も実現することができました。イベント参加者は530名となり、第1回のHALCONセミナー参加者20名から、実に 26倍の規模となり、大成功を収めることができました。

2007年にリリースされた「HALCON8.0」で、HALCONはついに、画像処理アルゴリズム開発環境HDevelopは完全に日本語対応を果たします。ちなみに、HALCONの2000を超える関数、HDevelopにて出てくる文言はすべてリンクス社員が翻訳したものです。リンクスは、HALCONの機能拡張だけでなく、多言語化(日本語対応)にも貢献しています。新バージョンのリリース前には、MVTec社とリンクスとの間で頻繁にやり取りを行い、追加される新関数、改善される文章、新たな文言の一つ一つを日本語に置き換える作業を完了させることで、新しい「HALCON」が出来上がります。

新バージョンがリリースされる際には、世界中の「HALCON」販売代理店がドイツ・ミュンヘンに集まり、MVTec社が主催する新機能紹介イベントに参加します。

MVTec社は、そのイベント本番に先駆けて、リンクスのみが招待された新機能トレーニングを開催してくれます。そこで交わした議論が最終的な製品・イベントへと反映されます。MVTec社にとって、数ある代理店の中でも、リンクスは非常に特別な存在であり、まさに共に「HALCON」という製品を成長させてきた同志です。

新バージョンのイベントは、OKTOBERFEST の時期。新機能の紹介を受けた後、MVTec社が確保したビアテントで、ドイツのとびきりおいしいビールをいただくのが恒例です。

2008年、マシンビジョン市場において、画像処理ライブラリとして確固たる地位を築き始めた「HALCON」の成長を物語る事件が発生します。大手マシンビジョンメーカーからの提訴です。その影響は決して小さくはなかったものの、数年後には落ち込みを跳ね返し、さらなる成長を続けました。そして、2014年、「MVTecは特許を侵害していない」という判決が下り、そのメーカーは訴訟の取り下げに同意し、決着しました。

現在

リンクスは、マシンビジョン市場における世界最先端のカメラ、3Dセンサー、FPGAボードといったマシンビジョン関連製品を増やしています。それらと「HALCON」とを組み合わせることで、より付加価値の高いサービスを提供し続けています。

毎年冬場に、リンクスのプライベートイベント「LINX DAYS」の開催を続けています。市場のトレンド、新機能、新製品、デモ機の展示、各業界のキーパーソンによる講演など、盛りだくさんの内容で開催しています。毎度毎度、前回よりも大規模で濃密なコンテンツで、ということを繰り返していき、2016年には、ついに参加者が1,000名を超えました。

そして2019年に開催したLINXDays 2019では、参加者が1710名という規模に。登場から20年が経過し、「HALCON」は、マシンビジョン市場においては知らない人はいない製品となっています。

将来

すでにマシンビジョン市場において確たる地位を築いた「HALCON」ですが、今後も、半年に一度の継続的な機能アップをコミットし続けます。大きな拡張の軸としては、以下の3つがあります。

ディープラーニング

今後も新たな手法の出現や様々な部分への応用が期待でき、これまで実現が難しかったことを可能とする画期的なテクノロジー

HALCON Embedded

画像処理は、PCだけでなく、ARM CPU+Linux環境や専用の組み込みの環境下での活用が広がっている

MERLIC

画像処理の専門的な知識を持たずとも直観的なマウス操作だけで高機能な処理フローを作成でき、GUIの構築までを包括した”all-in-one”の画像処理ツール

MVTec社のミッションは、学術界と産業界の橋渡しをすること。学術界の最先端技術を、産業用途で使えるツールとして提供することです。そして私たちリンクスは、世界の最先端の技術をもって、ものづくりの現場に究極の生産効率の最適解を届ける、マシンビジョン市場のテクノロジープロバイダです。
これからも、MVTec社とリンクスは同志であり、現状に留まることなく、マシンビジョン市場における挑戦者であり続けます。